相手の気持ちを受け止め、自分の思いを届ける力は、遊びや会話など日々の暮らしの中で育まれます。家庭でできる関わり方について専門家に聞きました。

教えてくれたのは…

星野由子さん
千葉大学 教育学研究院 准教授

公開 2026/09/30(最終更新 2026/09/25)

編集部

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「トーク力」と「コミュ力」は違う

コミュニケーション力は、単に話す技術ではありません。相手の表情や様子を見て気持ちに寄り添い、受け止める力も必要です。また、自分の思いがきちんと相手に伝わるよう工夫する力でもあります。

赤ちゃんが「ママ」と言うだけで、親はそれが「お母さん」なのか「ごはん」なのかを察することができたりします。やがて言葉を覚えて、「ママ、トイレ」などと意思表示をするようになるかもしれません。家ではこれでOKですが、小学校に上がるとどうでしょう? 「先生、トイレ」と言えば、「先生はトイレではありません」と言葉を正されるかもしれませんね。

このような経験によって子どもは、相手によって伝え方を変えなくてはいけないことを学んでいくのです。この学びは、家庭内や同年齢の集団の中だけでは得られません。夏休みに祖父母の家へ行ったり、自治会や子ども会で年上の人たちと関わったり、外国の人と話したりするなど、いろいろな人と接することで対応力が培われていきます。人見知りで自分から話すのが苦手な子でも、聞く力が優れている場合もあるので、焦らず見守ってあげてください。

コミュ力を伸ばす家庭での関わり方

子どものコミュニケーション力は、日常のちょっとした遊びからも育まれます。例えば「ごっこ遊び」。「お母さん役」「先生役」など別の人になり切ることで、それらの人たちの話し方や言葉遣いに気づいたり、いつも自分が親から言われていることを子ども役にぶつけることで、言う側の気持ちを理解できるかもしれません。普段の自分と違う視点に立って「伝える」経験ができる、という意味で「ごっこ遊び」は学びの宝庫といえます。

また、伝えるための言葉を豊かにするのに効果的なのが、絵本の読み聞かせ。子どもは絵と言葉を結び付けながら、言葉の意味を覚えていきます。絵本では、リズム良く言葉が繰り返されることが多いと思いませんか? 子どもが同じ絵本を何度も読んでほしがるのは、繰り返しに心地よさを感じるから。繰り返すことで言葉が定着し、次の展開を予測する力も育まれます。何度も同じ絵本を「読んで」とせがまれても、無理のない範囲で付き合ってあげてほしいですね。

保護者にとって大切な役割は、子どもが安心してコミュニケーションの練習ができる環境を整えること。さまざまな人と触れ合う機会をつくり、子どもの世界を広げてあげてください。

コミュ力の発達と習い事

英語や音楽、スポーツなどの習い事の場でも、人と関わることでコミュ力を育てることができます。先生や仲間とやり取りしたり、団体競技で協力したりすることで、言葉の使い方や社会性が自然と身に付いていきます。