ホルモンの分泌量が原因となる病気は多岐にわたります。糖尿病をはじめ、代表的な病気について教えてもらいました。
教えてくれたのは…

| 北柏駅前内科・糖尿病・甲状腺クリニック 院長 末吉 剛(すえよし ごう)さん |
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| 大学病院で培った知識と経験を生かして、2026年3月に開業。 |
公開 2026/04/29(最終更新 2026/04/27)
早期治療が重症化を予防する糖尿病
内分泌疾患とは、ホルモンを分泌する臓器の異常によって起こる病気のこと。生活習慣病として知られる糖尿病も、大きな枠組みで見れば内分泌疾患の一つといえます。
糖尿病は、インスリンというホルモンの作用不足によって、血液中の血糖値が高い状態が続く病気です。インスリンには血糖値を下げる働きがあり、これが弱まると体内の細胞が糖を吸収できなくなって、血液中を流れるブドウ糖が増加。
その結果、血管にダメージを与えます。糖尿病で怖いのは、進行すると眼底や腎臓、神経など血管の多い臓器を傷つけてしまう点。それにより、視力低下や失明、腎不全、神経障害など深刻な合併症が起こります。ただし、初期の段階で適切に治療し、生活習慣を改善することで、合併症のリスクを軽減できます。
糖尿病は大きく1型と2型に分けられます。圧倒的に多いのは肥満や運動不足、遺伝が原因とされる2型です。糖尿病の予防には、バランスの良い食生活はもちろん、体を動かすと筋肉が血液中のブドウ糖を消費するため、適度な運動も欠かせません。ちなみに、主に小児から青年期に発症する1型は、生活習慣とは無関係な病気で、具体的な原因は不明です。
さまざまな病気がある内分泌疾患
インスリンだけでなく、私たちの体内では、さまざまなホルモンが働き、身体機能をコントロールしてくれています。例えば、のどぼとけの下あたりにある甲状腺から分泌されるホルモンは、新陳代謝を促進し、体温調整や心臓の機能維持などを担っています。
この甲状腺ホルモンの分泌異常による疾患は、過剰分泌によるバセドウ病と、分泌量が低下する橋本病の2つが有名です。バセドウ病は、動機や息切れ、発汗などが、橋本病は、倦怠感や寒気、むくみなどが、それぞれ症状として見られます。
この他にも、閉経前後のエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少で起こる女性更年期障害、高血圧の原因となる原発性アルドステロン症、症例は少ないのですが、アドレナリンが過剰に分泌される褐色細胞腫(腫瘍)など、内分泌疾患には多くの種類があります。
そのため、自覚症状だけで判断することは難しく、単なる体調不良と見過ごされてしまうケースもしばしば。少しでも不安を感じたら、専門知識のあるクリニックで、しっかりと検査することをおすすめします。もちろん、症状がなくても健康診断などで指摘があれば、必ず受診をしましょう。
糖尿病とは?
40代から増え始め、50代にかけて発症リスクが高まります。欧米人と比べてインスリンの分泌量が少ないことに加えて、食事の欧米化によって、日本人の罹患者は増加傾向にあります。
糖尿病の主な原因
2型の場合は、肥満、運動不足や偏った食事などの生活習慣の乱れ、遺伝的な要素が挙げられますが、どれか一つが当てはまったからといって必ず発症するわけではありません。
糖尿病の合併症
三大合併症といわれる右記の3点の他、心筋梗塞や脳梗塞、認知症などのリスクも高まります。
網膜症
眼底出血による視力低下、失明の恐れも。
腎症
腎臓の機能が低下。腎不全で人工透析が必要になることも。
神経障害
手足のしびれ、感覚の鈍りなど。足の壊疽(えそ)につながることも。
糖尿病で注意したい症状
□ のどが渇く
□ トイレが近い
※夜中に3~4回起きるほどの頻尿
□ 体重増加の後、急激な体重減少
その他の主な内分泌疾患
バセドウ病
20~50代の女性に多い病気ですが、男性や高齢者にも見られます。不整脈や心不全などの合併症のリスクもあるため、早期の治療が必要です。
バセドウ病で注意したい症状
□ 動悸・息切れがする
□ 発汗過多
□ 体重減少
□ 手の震え
橋本病
中高年の女性に多い病気ですが、若年層や男性でも発症の可能性はあります。悪玉コレステロール値が上がりやすくなるため、その数値から病気が分かるケースも。
橋本病で注意したい症状
□ 倦怠感がある
□ 寒気を感じる
□ 体重増加
□ むくみ(弾力があり、指で押すと戻るようなむくみ)
万病のもと! 肥満にご注意を
極端な肥満は、生活習慣病や睡眠時の無呼吸症候群、腰やひざへの負担増などの原因となるので、甘くみてはいけません。医学的な肥満の定義は、BMI値が25以上の状態。健康のためには、適正体重とされるBMI値22を目安に、体重を管理することがポイントです。
BMIの計算方法
体重(kg)÷身長(m)の2乗
例:身長160cm、体重60kgの場合、60÷1.6×1.6=23.4