11月26日は「いい風呂の日」。
千葉県銭湯大使 後藤泰彦さんが埼玉県東部エリアでいち押しの銭湯、越谷市の登龍湯(とうりゅうゆ)を編集部が取材しました。
公開 2021/11/24(最終更新 2021/12/13)

肌も髪もツルツルすべすべの軟水 薪で沸かすまろやかなお湯
登龍湯の開業は1968(昭和43)年。
偶然にも同じ「登」が付く登戸町にあるので「のぼりと湯」と呼ばれることも少なくないとか。
カラン86組、駐車場43台という広さと規模は、外から見ても存在感があります。
1997(平成9)年に脱衣所やロビーを増床。
「ゆったり入れるのがいい」と人気のお風呂屋さんで、営業日は毎日欠かさず通う常連さんも多いそうです。

水は地下水をくみ上げていますが、1985(昭和60)年から軟水装置を導入しました。
すべての湯船はもちろんカランのシャワーも全部軟水なので、肌も髪の毛もツルツルすべすべに。
肌荒れや乾燥肌、皮膚のトラブルに悩んで県外から通う人もいるそうで、女性からも「お化粧のノリが違う」と好評です。
「軟水装置は2日に1回、塩50㎏使って約2時間半かけて掃除しなければならないので、大変ですけどね」と経営者の関根さんは苦笑い。

燃料も薪にこだわり、茨城県まで自ら引き取りに行く廃材を利用しています。
遠赤外線効果で芯から温まるお湯になるとか。
登龍湯の湯船はすべてバイブラ湯なので、ますますぽかぽかです。
五右衛門風呂や広々とした露天風呂が人気
自慢の湯船の一つが五右衛門風呂です。

直径2m×深さ1.2mのステンレス製。
最高46℃でバイブラ湯なので、ちょっと身構えてしまいますが「でも軟水なのでピリピリしないんです。あったまりますよ」とのこと。
その他にも、100%漢方素材(生薬)じっこう薬湯風呂、サウナ代わりの半身浴室、水風呂、そして広々とした露天風呂も人気があります。
今の時代の銭湯の役割 高齢者も安心して入浴できる
開業当時、越谷市に11軒あった銭湯も、今ではここ登龍湯1軒に。
埼玉県内でも368軒から36軒と少なくなる一方ですが、今の時代ならではの役割があるそうです。
「銭湯は昔から地域コミュニティーの場ですが、1人暮らしの高齢者が増えてきている今は、見守りの場としての役割が注目されています。
地域包括支援センターとも連携していますが、常連さん同士で『〇〇さん、元気?』『最近来てないね』などの会話があることで、異変にすぐ気付くことができます。
それと、冬場は特に高齢者の入浴時のヒートショックが怖いですよね。
銭湯なら脱衣所も浴室も暖かいですし、体調に異変が起こっても周りがすぐ気付いてあげられるので、家で1人で入浴するよりも安心度が高いと思います」と関根さん。
銭湯には、地域の人たちの心と体を健やかに保つ魅力がいっぱいです。