私たちの体を健やかに保つ役割を担う「大腸」。これからも健康でいられるように、定期検査や生活習慣を改善して、しっかり守っていきましょう。
教えてくれたのは…

| 新松戸こじま胃と大腸肛門の内視鏡・血管外科クリニック 院長 児島 和孝さん |
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| 病院で大腸内視鏡検査に従事。5月、新松戸にクリニックを開院。 |
公開 2026/04/29(最終更新 2026/04/28)
目次
「大腸ポリープ」に注意
私たちの体において、大腸は主に「水分の吸収」と「老廃物の排出」という大切な役割を担っています。しかし、加齢や食生活の欧米化、お酒やタバコといった生活習慣の影響で、さまざまなトラブルが起こりやすい場所でもあります。
代表的な病気には、「大腸がん」や「大腸炎」の他、腸の壁にシワのような小さなくぼみができる「大腸憩室(けいしつ)」などがあります。それ自体は大きな問題ではありませんが、そのくぼみにばい菌がたまって炎症(憩室炎)や出血を起こすこともあるので注意が必要です。
中でも特に気を付けてほしいのが「大腸ポリープ」。これは、がんの一歩手前の状態と言われており、小さいうちは自覚症状がほとんどありませんが、放置するとがん化する恐れがあります。
そして「血便が出た」「便が細くなった」「急な便秘や下痢が続く」といった症状が現れた時には、すでに病気が進行していることも少なくありません。異変を感じたら、迷わず医師に相談しましょう。
何よりの予防は検査を受けること
日頃からできる予防としては、適度な運動や塩分・カロリーを控えたバランスの良い食生活が基本ですが、何よりの予防は「症状が出る前に検査を受けること」。これこそが病気を未然に防ぐための一番の近道なのです。
検査を受ける目安としては、40歳を過ぎたら一度受診することをお勧めします。最近では20〜30代で罹患(りかん)される方も決して珍しくはありません。ご家族にがんの経験者がいる方や、おなかの調子が気になる方は、30代のうちに一度検査しておくと、より安心ですね。
一度検査をして問題がなければ、その後は数年おきで大丈夫です。ポリープの有無や大きさに合わせて、自分に合った検査ペースを医師と相談するのが理想的です。
体と心の負担を軽減! 現在の内視鏡検査
「検査は痛そう」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、現在の内視鏡検査は非常にスムーズです。鎮静剤を使うことで「心地よく眠っているような状態」で検査を受けられるため、体や心への負担を抑えられます。
また、スコープ自体も進化していて、腸の形に合わせて自動的に曲がり方を調整したり、空気を入れすぎずに検査したりすることができるので、痛みを感じさせない優しい挿入ができるようになっています。
検査自体の時間も15分程度で、もしポリープが見つかっても、その場で切除できる「日帰り治療」が可能なケースも多いのです。
早期発見が健やかな毎日へのカギ
検査を受けて「何もなかった」と確認することも、立派な健康管理の一つ。もし異常が見つかったとしても早期に対処すれば、今まで通りの生活を続けていくことができます。
特に、大腸がんは死亡者数が日本の人口の約3倍であるアメリカと同等であり、その原因は大腸がん検診や大腸内視鏡検査の受診率の低さにあります。
ただ、早い段階で見つけることができれば、完治を目指せる病気です。発見が遅れて進行してしまう前に一歩を踏み出して、病院の扉をたたくことが、これからの健やかな毎日と安心へとつながるのです。
【大腸の検査】ちょこっとTOPICS
TOPICS1 医師×AIのダブルチェック体制
大腸内視鏡検査において、最新の機器ではAI(人工知能)が搭載されているものもあり、撮影された動画をリアルタイムでAIが解析してくれます。医師の目とAIの両方で診ることで、小さな見落としを防ぐことができます。
TOPICS2 大腸をCTで撮影する検査方法
CTよりもカメラで直接見るほうが、小さな変化を見つける力は勝っているため、基本的には内視鏡カメラがお勧めですが、下剤を飲むのが体力的に厳しいご高齢の方や、腸がおなかの壁に癒着している方など、どうしてもカメラが入らないという場合は、内視鏡を挿入せずにCT撮影で検査をする「大腸CT検査」という方法もあります。