「秀光人形工房」では、本店工房(東京都立川市)で染めたこいのぼりを市川市の工房で裁断、縫製、包装し、出荷まで行っています。
画像提供/秀光人形工房
公開 2026/05/18(最終更新 2026/05/07)
手本は初代金龍失敗作のこいのぼり
金田鈴美さんは大学卒業後、実家が営む秀光人形工房に入社。
当時のこいのぼりは二代目である父が作る捺染(なつせん)(型染め)のこいのぼりのみの生産でした。
初代が作っていた手描きこいのぼりは手間がかかり、生産数が少ないからです。


「初代金龍」作の手描きこいのぼりに魅了された金田さんは、手描きこいのぼりの復活を目指すことに。
しかしうまく描けたものは出荷されたため残っていません。
初代の失敗作を手本に手描き技術の修業を続け、26歳で「三代目金龍」を襲名しました。

現在、秀光人形工房では型染めこいのぼりが90%、金田さんの手描きこいのぼりが10%の割合で生産。
室内用や棚に飾る小さなこいのぼりも生産しています。
染めから裁断、縫製、包装、出荷まで一つの工房で全て行うのは珍しいそう。



手描きと型染めそれぞれの特徴は

型染めこいのぼりの特徴は、ナイロンの生地に型を使って染めるので、くっきりした柄になること。
一方、手描きこいのぼりの特徴は、綿の生地に筆で描くので筆跡が残ること。
染料は合成顔料とのりになる材料を調合して作ります。
「布には水分が含まれ、気温や天気で染まり方が変わるので、調合の割合は毎日変える。そこが難しいところ」とのこと。
型染めはまとめて染めるので価格を抑えられますが、手描きは一つ一つ描くので時間と手間がかかる分、高価になります。
生き生きとした筆跡は手描きならでは。






こいのぼりには「男の子が生まれたらこれを目印に神様に降りて来てもらい、家族を見守ってもらいたい」という願いが込められています。
大空を泳ぐこいのぼりを見かけたら、染め方の違いにも注目してみては。
(取材・執筆/平田涼)
