飾るための「絵画」ではなく、暮らしの中に溶け込む「襖絵」を描き続けている島田由子(よしこ)さん。画家のような表現者ではなく「手描襖絵という『文化』を残していきたい」と話します。
公開 2026/06/23(最終更新 2026/06/19)
襖絵がある空間を残すために…
美大を卒業し、転居した柏市で襖のデザインをする仕事に就き、草花や幾何学的な絵柄を描きつつ、自身の描きたい絵を模索していた島田さん。
「無地の襖紙が手軽に手に入るため試しに描いてみたら、自分の筆遣いと襖紙との相性が良いことに気がつきました」と振り返ります。

部屋に花の絵の襖があったらすてきなのではと「手描襖絵」の作品展を開催したところ、注文が入りました。
依頼主との打ち合わせを繰り返しながら構図を決めていく中で「これが私のやりたかった仕事だ。必要とされる絵を描きたい」と感じたそうです。
和室の減少で襖の需要が減っているため、襖業界はどんどん規模が小さくなっています。
今の襖は定形の古いデザインを印刷したものが多く、襖の柄にこだわる人も少なくなり、襖に絵を描くという需要もなく、手描襖職人も減少。
島田さんは「襖絵の文化を残していくためには公的なところに発信しなければ」と考え、2024(令和6)年度の千葉県伝統的工芸品の指定を受けました。

空間を自由に彩るインテリアの一部
「襖には遊べる可能性がたくさんあります」と島田さん。
室内で大きなスペースを占める壁紙に絵柄を使うのは難しくても、襖のサイズなら個性を発揮できます。


リバーシブルにもでき、好みが変わったら大掛かりな施工の必要なく貼り替えることができます。
引手を取り換えて楽しむことも可能。
窓の景色と一体化させたいからと庭の写真をもらって、イメージを共有しながら完成させることもあるそうです。
「空間の背景として、暮らしに穏やかさと晴れやかさを添える、そんな襖絵を描いていきたいです」と島田さん。
これからも襖絵の技術継承と遊び心を伝え続けることでしょう。
(取材・執筆/平田涼)
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