高齢になると男女を問わず増えてくる排尿のトラブル。「年だから仕方ない」「そのうち治るだろう」と放置していると、症状が悪化して治療が難しくなることがあります。
教えてくれたのは…

| 医療法人社団有相会 最成病院泌尿器科医師 三田(さんだ)真朗さん |
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| 宮崎大学卒。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医。千葉中央メディカルセンター泌尿器科勤務後、当院に着任。年間手術件数は約700件。 |
公開 2026/08/05(最終更新 2026/07/31)
編集部 ゆりか
編集部所属の取材記者。白井市出身、船橋市在住。コンテンポラリーダンス、ヨガ、ズンバ、バレエなどとにかく踊るのが好き。取材執筆も好きだが、地図が読めないため取材前はいつも軽く迷う。食べ盛りの夫と3人の子育てに奮闘中。
記事一覧へ前立腺肥大症の新しい治療法とは
多くの男性が罹患するといわれている「前立腺肥大症」。加齢とともに前立腺が膨らみ、膀胱出口の尿道を圧迫するため、尿の勢いが弱くなったり、夜間に何度もトイレに起きたりという症状を引き起こします。一度前立腺が大きくなると自然に良くなることはなく、放置すると膀胱の機能低下や腎障害を招く恐れがあります。
従来はレーザー手術が主に行われていましたが、最近では体に負担が少ない水蒸気治療「WAVE」という手術も行われています。これは肥大した前立腺に水蒸気を注入して組織を縮小させるもので、手術時間はわずか10分程度と短く、出血も少ないのが大きな特徴です。
従来のレーザー手術のように術後すぐに劇的な改善を感じるものとは異なり、1カ月ほどかけてじわじわと効果が現れますが、その分体への負担が軽く、高齢者でも安心して受けられる治療です。
過活動膀胱の対処法は
また男女共に多いのが「急に我慢できない尿意に襲われる」「トイレまで間に合わず漏れてしまう」といった過活動膀胱のお悩み。まずは飲み薬や、お尻の穴を締める骨盤底筋トレーニングでの改善を図りますが、薬の効果が不十分な場合には「ボトックス注射」という選択肢があります。これは膀胱の筋肉に直接ボトックスを注入することで膀胱の過剰な収縮を抑え、頻尿や尿漏れを改善する治療法です。
過活動膀胱とは

少量の尿で膀胱が過剰に収縮。
我慢できない強い尿意が急に起こる。
骨盤底筋トレーニング

過活動膀胱には尿道を締める力を鍛える体操が有効です。椅子に座ったり、寝転んだ状態で、数秒間尿道の付け根あたりの筋肉を締め、その後ゆっくり緩める動作を繰り返します。
深刻な血尿 放置は危険!
そしてさらに注意が必要なのは、「痛みはないが血が混じった尿が出た」という場合。血尿は、前立腺がんや膀胱がんの重要なサインであることが少なくありません。世間では「疲れているから血尿が出た」と言う人もいますが、疲れで血尿が出ることは一切ありません。一度でも血尿が出たら必ず受診したほうがいいでしょう。
前立腺肥大症と前立腺がんは、初期には症状の見分けがつきにくいため、採血とMRI両方での検査が多く行われています。前立腺がんは男性のがんの中では罹患率1位ですが、早期に発見できれば根治が目指せる病気です。
尿の悩みは日々のことなので、徐々に悪化しても慣れてしまいがちですが、放置すると治療が困難になることがあります。少しでも気になる症状があれば、手遅れになる前に、ちゅうちょせず専門医の診断を受けることが大事です。