男性特有のがんである前立腺がん。病気の進行が比較的緩やかなため、早期に発見して適切な治療につなげれば、根治の可能性も高まります。

※この記事は船橋市立医療センター・船橋市西図書館共催による 医療講座「高齢者に多い泌尿器科悪性腫瘍について」(講師/ 同センター泌尿器科 深沢賢氏)を参考に作成しました。

公開 2026/09/15(最終更新 2026/09/07)

編集部

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初期症状は少なく緩やかに進行する

前立腺は男性特有の、ぼうこうのすぐ下にあるクルミ大の臓器(図1)で、前立腺液を分泌して精液の一部を作る働きを担っています。

代表的な前立腺の病気には、加齢とともに前立腺が大きくなる前立腺肥大症があります(図2)。

下は前立腺肥大症の状態。肥大した前立腺が尿道を圧迫し、尿の勢いの低下や頻尿、残尿感などを引き起こす

症状は、尿道が圧迫されて尿の勢いが弱くなったり、頻尿や残尿感が現れる、などが主なもの。

前立腺がんとは別の病気で、命に直接かかわることはありません。

前立腺がんの多くは前立腺の外側から発生します(図3)。

前立腺がんは前立腺の外側から発生するため、初期には自覚症状が出にくいのが特徴。進行すると、リンパ節や骨などに転移することがある
前立腺がんは前立腺の外側から発生するため、初期には自覚症状が出にくいのが特徴。進行すると、リンパ節や骨などに転移することがある

高齢男性に多く、50歳以降に増加。

日本人男性の約9人に1人が、生涯のうちに前立腺がんにかかると推定されており、男性のがんの中では最も患者数が多い病気です。

ただしゆっくりと進行するので、患者数の多さの割に死亡数は少ないのが特徴です。

発症の主な原因とされるのは加齢、遺伝や家族歴、食生活の欧米化など。

もともと日本人には少ないとされてきましたが、近年は増加傾向にあります。

早期発見のために行うPSA検査

前立腺がんは初期には自覚症状がほとんどなく、進行すると前立腺肥大症に似た排尿の異常が現れ、さらに進むと痛みを伴うことも。

そのため、症状が出る前に見つけることが重要です。

早期発見に役立つのがPSA(前立腺特異抗原)検査。PSAは前立腺で作られるたんぱく質で、血液検査で測定することができます。

ただし、PSAの数値は前立腺肥大症でも上昇するため、検査値だけではがんの診断はできません。

PSAの数値が基準値を超えた場合はMRI検査を行い、がんが疑われれば前立腺生検で組織を採取して、診断の確定を行います。

がん発見後の治療方法の選択肢

前立腺がんと診断されたら、転移の有無を調べます。

転移がなければ、手術や放射線治療による根治を目指し、転移があれば、男性ホルモンの働きを抑えるホルモン療法を中心とした治療が行われます。近年は医療技術の進歩により、治療成績も向上しています。

ロボット支援手術は手術後の傷が小さく、従来に比べて出血や痛みも抑えられる他、精密な操作が可能です。

また放射線治療も進歩し、安全性の向上や副作用の軽減が図られています。

前立腺がんは、早期発見によって根治を目指せる可能性が高い病気です。

定期的な検査で、病気の兆候を見逃さないようにしましょう。