佐倉には戦国時代から500 年伝承してきた古武術の流派がある。
抜初演武は藩主臨席で行われた年頭行事。
江戸時代堀田家からの奨励もあり、立身流は佐倉サムライ必須の武術だった。
▲右腕をきめ、敵の動きを制し、脇の下(急所)を短刀で切り上げ刺す(左:山田市郎師範)
稽古は日本刀の真剣を使う
木曜夜、佐倉支部の稽古を拝見。
「礼」。山田市郎師範の号令で剣道場の空気は厳粛になる。
居合は、日本刀を鞘に収めた状態で帯刀し、抜きざまに攻撃を与える技。
剣士の多くは稽古でも真剣を使う(初心者は木刀や模造刀を使用)。
世界に誇る切れ味を持つ刃物は、触れれば即座に事故やけがにつながる。
「ひゅん」ー刀が空を切る音に身が縮む。
居並ぶ剣士がスッと正座から立ち上がり、柄に手をかけ鯉口を切り抜刀、刀を旋回、鞘に刃を収め正座に戻る。
流派独特の形動作の中で体勢や気構え、呼吸などのポイントを丁寧に確認。
一つ一つが合理的な理由を持ち磨き抜かれてきたもの。
洗練された流れるような一連の動作はクールで力強く美しい。
▲木曜午後7時から、佐倉市体育館剣道場で稽古
佐倉っ子よ!立身流武術を見よ
千葉県指定無形文化財である立身流の抜初演武の見みどころは、「多種の武具を扱う技が一度に見られること」と山田師範。
立身流は「いかなる武器を持っても必勝、持たなくても必勝」の総合武術。
中心は居合と剣術だが、戦国時代の戦闘の流れをくみ、鎗、長刀、短刀、四寸鉄刀など、伝承する武器の種類が多い。武器を失えば落ちている棒(六尺)や半棒を拾って戦い、素手ならば(柔術)で戦う。
また、実際に竹や畳表の筒などを斬る鍛錬、「試切」は迫力満点。
力は必要だが、刃筋を立て、呼吸・握り・スピード・タイミングなどが最高に一致すると、切られたモノはただ下方にスッと落ちる」という。
かつて藩外不出とされた立身流も、現在は佐倉にとどまらない。
3カ所の国内支部と海外支部(オーストラリア・フランス・スペイン)で女性も合わせて200人ほどが修練を積む。
オリンピックイヤーの今年。
あなたは世界に誇る佐倉のサムライ武者の目撃者になる!? (瑞希)
▲短刀で太刀を制する。攻撃を受け流して相手を刺す(左:次期宗家 加藤敦氏、右:第二十二代立身流宗家 加藤紘氏)