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【成田市】成田山書道美術館で「日本の書」を展示。大きさと迫力に圧倒

1964年と2021年、二つの東京オリンピックの時代を映す、書の展覧会です。

二つの時代を代表する作品の数々から、それぞれの時代を感じることができます。

成田山書道美術館で展示されている、石飛博光「富士山」(2011年)の作品
超大作、石飛博光「富士山」(2011年)の大きさと迫力に圧倒される

書を形で楽しむ1960年代

この展覧会では、東京オリンピックに絡め、1960年代と2011年以降の作品を、同時に鑑賞することができます。

学芸員の山﨑亮さんによると、1960年代は、外国人を意識した作品が多く書かれた時代だといいます。

この頃から、アメリカ、ドイツといった欧米で積極的に展覧会が開かれるようになりました。

同時に日本を訪れる外国人も増え、漢字を読めない国の人にも文字の形で訴えるという、読むものという考え方すら超えた表現方法も模索され始めました。

このため、一見するとユニークな作品も多く、当時の自由な時代の気風が感じられます。

成田山書道美術館で展示されている、「東洋の魔女」と呼ばれた日本女子バレーボール選手への称賛を書いた、松本芳翠『五輪十絶之一「魔女」』(1964年)の作品
松本芳翠『五輪十絶之一「魔女」』(1964年)。日本女子バレーボール選手への称賛を書いた

松本芳翠氏は、扇形の紙に、当時「東洋の魔女」と呼ばれた日本女子バレーボール選手への称賛を書きました。

文字の配置が絶妙で、技術の高さが感じられます。

東日本大震災の記憶とともにある現代

成田山書道美術館で展示されている、恐ろしい津波を黒い塊と表現した、永守蒼穹「直後黒い塊」(2011年)の作品
永守蒼穹「直後黒い塊」(2011年)。口語体で思いを表現した

現在の日本に大きく影響を与えているのは、2011年の東日本大震災です。

展覧会では、複数の作家が未曾有の大災害を表現した作品が展示され、鬼気迫る迫力を感じます。

永守蒼穹氏は、恐ろしい津波を黒い塊と表現し、口語体で自分の言葉を用いて思いを表現。

文字の大小、余白、紺色の表具地など、装丁の細部にまでこだわった作品を作り上げました。

日常では、文字は「書く」ものから「打つ」ものへと変化。

より非日常のものとなった書道を、今日的な表現方法で、若い世代にも分かりやすいものにしようとする取り組みがこの作品からみられます。

成田山書道美術館で展示されている、自らの震災経験を、伝統的な漢詩という表現方法で金屏風に書いた、吉澤鐵之「東日本大震災十二首屏風」左隻(2013年)の作品
吉澤鐵之「東日本大震災十二首屏風」左隻(2013年)。伝統的な漢詩で表現

吉澤鐵之氏は、自らの震災経験を、伝統的な漢詩という表現方法で、技術的にも墨を乗せるのが難しい金屏風に書き、斬新な作品に仕上げました。

こんな時代だからこそ伝統を守りたいと考える姿勢からは、時代を見据えた流れが感じられます。

書道文化が成熟した現代ならではの展覧会。

それぞれの時代の、紙や装丁なども含めた日本の書を堪能したいです。(取材・執筆/倫)

成田山書道美術館「日本の書」

住所/千葉県成田市成田640 成田山公園内

会期/後期:7月17日(土)~8月29日(日)

開館時間/午前9時~午後4時(最終入館は午後3時30分)

休館日/月曜日(休日の場合は翌平日)※7月16日(金)までは展示替えのため休館

入館料/大人 500円、高校・大学生 300円、中学生以下 無料、成田山新勝寺の御護摩札提示で2人まで無料

問い合わせ/ 0476-24-0774

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ちいき新聞 レポーター

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