角田夏実さん
生年月日/1992年8月6日
出身地/千葉県八千代市
趣味・特技/国内外の世界遺産巡り、サイクリング、ゴルフ

公開 2026/06/10(最終更新 2026/06/08)

代表から漏れて考えた「引退」

東京オリンピックの女子柔道48kg 級代表になれなかった。すでに27歳。最後の試合だと思って覚悟を決め、階級まで変えて挑んだ。それでも結果は代表ではなく補欠。失意の中で頭に浮かぶのは「やめる」という言葉ばかり。現実の厳しさに打ちのめされていた。そんな中、新型コロナウイルス感染症の流行で、東京オリンピックの開催が1年遅れる。

「1年あったら何が起こるか分からないよ。補欠として、しっかり準備しておこう」。悩んでいた私に、今井優子コーチがそう声をかけてくれた。2015年から苦楽を共にしてきた、第二の母のような存在。心が折れそうになった時や、柔道をやりたくないと思った時など、何でも相談してきた。私以上に私のことを分かってくれている人。今井コーチがそう言うのなら…。

同じ頃、世界柔道選手権大会の代表に選ばれた。オリンピックに照準を合わせ、出場を見送る選手もいたが、そこで優勝を勝ち取れたのはうれしかった。

――もう少し続けてもいいのかな。

そんな思いが、胸の奥にそっと生まれていた。

トレーニング内容を見直し新たな境地へ

さらなる成長を目指してトレーニング内容を見直し、あちこちの練習場を渡り歩く日々。確実に厳しくなった練習だが、今まで開かれていなかった部分が目覚めていく。まだまだできる。もっとできる。そして乗り越えられた時は充実感と楽しさが増していた。

「試合の結果がどうであれ、全力でやれば、それまで培ってきたものは変わらない」そう信じて精いっぱい戦い続けた。その覚悟が一つずつ実を結ぶ。22年、23年の世界柔道選手権大会で連続優勝。

「正式に決まった。明日取材に出られるか?」

――パリオリンピックの代表に内定したのだ。

本番1年1カ月前という異例の早さ。それは柔道界史上最速での内定だった。