佐倉城下町を歩くと、どこからか聞こえてくる鐘の音。それは一日の時刻を伝え、人びとの祈りにつながるものでした。教安寺と佐倉教会、ふたつの鐘の物語です。
公開 2026/10/25(最終更新 2026/10/19)
佐倉城の「時の鐘」を継ぐ
新町通りの東側、城下町らしい鍵の手状の曲がり角あたりを歩くと、昼時に「ゴーン」と響く鐘の音を聞いたことはありませんか?
江戸時代、佐倉城大手門の「時の鐘」は城門の開閉や各役所の始業と終了の刻を告げていました。
廃藩置県によりその鐘は城下町の教安寺に移され、鐘の音は「時報」として市民に親しまれるようになります。
ところが、その鐘は戦時の金属供出で失われてしまいます。
その後の昭和52年、寺は創建350年を記念して「享保の名鐘」を意識した鐘を鋳造しました。
今聞こえるのはその鐘の音なのです。

正午を「昼九つ」と呼ぶ時法では、日の出(明け六つ)から日の入り(暮れ六つ)まで、昼を6等分して時刻を決めていました。
「日の出で一日が始まり、太陽が南中すると昼休みを取り、日の入りには仕事を終える」暮らしの時刻を鐘音が知らせていたのです。
教安寺では「用務が重ならない限り、今も正午に『捨て鐘3回+9回+終わりの鐘』を突く」と教えてくださいました。
伝統を今に継ぎ、郷愁をかきたてる鐘の音。
心静めて耳を傾けたいものです。
教会の鐘が祈りの時を告げる
一方、京成佐倉駅南口から城下町方面へだらだら続く登り坂を歩けば、坂の上の空に突き出た佐倉教会の十字架と、佐倉市美術館の大正レトロな入り口が並ぶのが見えるでしょう。

日曜の午前10時半には「カランカラン」と優しい音色が辺りに響きます。
これは点鐘(てんしょう)当番が鳴らす礼拝の合図。
長崎の工房で作られた鐘の音は、約30年前から地域に親しまれ、広島・長崎の原爆忌や終戦記念日などにも祈りの時を告げてきました。
11月の城下町イベント「タマルバ」ではこの教会を会場に、元NHK交響楽団ホルン奏者による演奏会も開かれます。

人智を超えた病や災害に傷ついた市民の祈りに、鐘の音は静かに寄り添うのかもしれません。
この秋、城下町の音風景を味わいに出かけませんか。
「タマルバ~城下町 HANGOUT 2026~」イベント内
「ホルンとオルガンが奏でる世界の名曲」
日時:11月15日(日)午後1時半~午後3時
場所:日本キリスト教団佐倉教会礼拝堂
住所:千葉県佐倉市新町215
料金:無料
問い合わせ
電話番号:043-486-4773
日本キリスト教団佐倉教会